高齢になると、自分から水を飲む量が少しずつ減ってくる子がいます。とくに高齢の犬や猫では腎臓の働きがゆっくり低下してくることが多く、そうなると尿を濃くする力が弱まって水分が失われやすくなります。水分が足りないと体に負担がかかりやすく、脱水は高齢の子にはとくに気をつけたい状態です。
この記事では、おうちで水分をとってもらう工夫と、脱水・病気のサインと受診の目安を整理します。
まったく水を飲まない、逆に急にたくさん飲むようになった(多飲)、おしっこの量が極端に多い・少ない——こうした変化は、 腎臓の病気、糖尿病、ホルモンの病気(猫の甲状腺、犬のホルモン異常)などで見られることがあります。すぐ命に関わるというより、早めの検査で見つけて対応したいサインです。ただし、避妊していないメスで、水をたくさん飲む・元気や食欲が落ちる・陰部から分泌物があるようなときは、子宮の病気(緊急のことがあります)も考えられるので、早めにかかりつけの動物病院にご相談ください。
なぜ、水を飲まなくなるの?
- のどの渇きを感じる力の低下——年齢とともに、飲みたい感覚が鈍くなることがあります。
- 動くのがおっくう——水飲み場まで行くのがつらいと、飲む回数が減ります。
- ドライフード中心の食事——食事からとる水分が少ないと、全体の水分が不足しがちです。
- 体の不調——さまざまな病気が、飲水や排尿の変化として現れることがあります一般的な考え方。
おうちでできる、水分をとる工夫
- 水場を増やす——よくいる場所の近くや、行きやすい場所に何か所か置きます。
- 器を見直す——浅め・広めの器、ヒゲが当たりにくい器など、その子が飲みやすいものを。
- 流れる水を試す——とくに猫は、循環式の給水器を好むことがあります。
- ぬるま湯や香りづけ——人肌のぬるま湯や、ゆでた肉のゆで汁を少し加えると飲むことがあります。ゆで汁は、塩や調味料を加えていない・玉ねぎやねぎ類を使っていないものにしてください(ねぎ類は犬猫に中毒を起こします)。市販のだしやスープは塩分が多いので使いません。
- 食事から水分を——ウェットフード、ドライをふやかす、スープを足すなど。
腎臓病などで水分や食事の管理をしている子は、自己判断で変えず、かかりつけの獣医師に相談してください。 良かれと思った工夫が、その子には合わないこともあります。
脱水・受診のサイン
- 首の後ろの皮膚をつまむと、戻りがゆっくり/歯ぐきが乾いてねばる/目がくぼんで見える
- ぐったりして元気がない
- まったく飲まない、または急に飲む量・おしっこの量が増えた
ただし、高齢ややせた子はもともと皮膚の戻りが遅いことがあり、これだけで脱水と決めることはできません。家庭での目安として、気になるときは動物病院で確認してください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療方針、特定の商品・お薬をおすすめするものではありません。
症状やその原因、対応は一頭ずつ異なります。愛犬・愛猫の体調については、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。
この記事について
本記事は、高齢の犬・猫のケアに関する一般的な獣医学の知見をもとに、獣医師が構成しています。特定の研究・商品・お薬を推奨するものではありません。
※記載の内容は、獣医療の進歩により今後アップデートされる可能性があります。