スロープを使って段差をゆっくり上り下りする高齢の犬 ゆるやかなスロープで
急な段差をなくし、ゆるやかに。滑らない足元も大きな助けになります。

立ち上がるのに前より時間がかかる。散歩に行きたがらない。後ろ足がときどきふらつく——。 年齢を重ねると、少しずつ足腰が弱ってくるのは自然な変化です。それでも、工夫しだいで毎日の暮らしはずっと楽にしてあげられますし、ときには病気が隠れていることもあります。

この記事では、おうちでできる「足腰を支える工夫」と、「これは早めに病院へ」という受診のサインを整理してお伝えします。

急に立てなくなった・歩けなくなった、足を引きずる、強い痛みで鳴く、ふらつきが急に進んだ——こうした変化は、 関節や神経の病気のサインのことがあります。「年のせい」と様子を見すぎず、早めにかかりつけの動物病院にご相談ください。とくに次のようなときは、その日のうちの受診をおすすめします。

  • 後ろ足が急に立たない・引きずる(背骨や神経のトラブルのことがあり、時間が経つほど回復に影響することも)
  • 足先が冷たい・紫っぽい、強く痛がる(とくに猫)
  • おしっこ・うんちが出せない、失禁をともなう

なぜ、足腰が弱ってくるの?

高齢の子の足腰が弱るとき、その背景にはいくつかの理由が重なっていることがあります一般的な考え方

  • 筋力の低下——動く量が減ると筋肉が落ち、さらに動きにくくなる、という悪循環になりがちです。
  • 関節の痛み・こわばり——立ち座りや段差の上り下りがつらくなります。
  • 神経や感覚の衰え——ふらつき・後ろ足の運びにくさとして現れることがあります。
  • 爪・肉球の状態や、すべる床——踏ん張れないことが、転倒や「動きたくない」につながります。

おうちでできる、足腰を支える工夫

  • すべらない足元にする——よく通る動線にカーペットやマットを。おうちの危ない場所はおうちの安全チェックで部屋ごとに確認できます。
  • 段差をゆるやかに——スロープや低い踏み台で、飛ばずに歩いて上り下りできるように。
  • 爪と肉球の毛を整える——伸びた爪や毛は滑る原因に。こまめにケアを。
  • 無理のない範囲で体を動かす——痛みが出ない範囲で、平らな滑らない場所を短くゆっくり、回数を分けて。体を軽く温めてから動かすとこわばりがやわらぎます。マッサージはさすってほぐす程度にとどめ、関節を無理に曲げ伸ばししない・嫌がったらやめましょう。
  • やわらかい寝床にする——長く同じ姿勢で寝る子は、床ずれ予防にもなります。
  • 体重を増やしすぎない——関節への負担を減らせます。

痛がっている様子のときは、無理に立たせたり歩かせたりしないでください。痛む場所をもむのも控えます。そして人用の痛み止め(市販薬を含む)は絶対に与えないでください——犬や猫では中毒を起こし、命に関わることがあります。痛みが強いときは自己判断で対処せず、動物病院へ。 また、関節のサプリメントやマッサージ・リハビリを始める前に、持病がある子はかかりつけの獣医師に相談を。その子に合う・合わないがあります。

こんなときは、早めに動物病院へ

  • 急に立てない・歩けない(できるだけ早く受診を)
  • 足を引きずる、さわると痛がる
  • ふらつき・よろけが日ごとに進む
  • トイレまで間に合わず失敗が増えた(トイレの失敗もあわせてご覧ください)
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療方針、特定の商品・お薬をおすすめするものではありません。 症状やその原因、対応は一頭ずつ異なります。愛犬・愛猫の体調については、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。

この記事について

本記事は、高齢の犬・猫のケアに関する一般的な獣医学の知見をもとに、獣医師が構成しています。特定の研究・商品・お薬を推奨するものではありません。

※記載の内容は、獣医療の進歩により今後アップデートされる可能性があります。

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